世界が「和様化」

二十一世紀に入って中国や東南アジアをはじめとする新興国がかつての日本のように「安くてよいものを作る」ことに長けてきたことで、日本は新たな成長の軸をつくらねばならなくなりました。

そこで、日本の強みを再発見してこれまでの〝工業製品〟からアニメやゲーム、食、ノウハウなど〝ソフト〟を売ることでコンテンツビジネス、観光ビジネスなどに今後の日本の成長を見出す、これがクールジャパン戦略の狙いでもあります。


海外のアニメ、コスプレ人気、和食ブームは、日本国内でもTVなどのメディアで目にすることも多いことでしょう。海外で過ごしていると実際まったくその通りなのですが、かといって日本国内の景気が良くなっているかというと、その実感はわいていないというのが大半の方の感想かと思います。また、国内にいるとどうしても「海外で日本のアニメ? ふ~ん」「コスプレがどうしたって?」と、冷めた目でこうした現象をとらえがちです。


いまやアニメ、コスプレは、ブームを超えて、世界の共通言語にも似たコミュニケーションツールの様相を呈しています。食の世界もそうで「和食」が単にヘルシーだからという意識を超えて、「和食を食すること自体、普通にカッコイイ」という域へと「クールジャパン」は進展しているのです。

海外取材をしていてびっくりするのは、日本のアニメを見て育っている人がとてもたくさんいるということです。ドラゴンボールやNARUTOは当たり前、とにかく知識として知っていないと「なんで読んでないのか?」と怪訝な顔をされることもあるほどです。

いいものはいいと、どの国でも日本の文化を受け入れていく。これは世界が「和様化」し始めている現象ともいえそうです。そしてこの「和様化」は、これから本格的になっていくと思われるのです。


そうなると今後は世界中で、「和様化」することの意味や背景を考えている人と考えない人で差が出てくるということになります。

これは、「面白き事もなき世を面白く……」という幕末の志士、高杉晋作の言葉のように、「面白い世の中にしようじゃないか、でも、それは自分の心次第だけどね」という変革の時代特有の風のようなものを感じているかいないかの差です。

この風をとらえるチャンスは日本人の誰もが持っていると、私は確信しています。そして同時に、いま日本に足りないものは何か? 消えてしまったもの、消えようとしているのは何か? 外国人に見えて当の日本人に見えていないことは何なのか?これを〝一流の人〟は考えています。なぜならそれが、新しいビジネスにつながる可能性があるからです。



KIMONOYA EIZI

「一流の人はなぜ着物を着こなすのか」を現代書林社より出版した著者のブログ

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