着物の魅力と力

日頃から羽織袴スタイルで通している私は、所用でアメリカのダラスに行った際も、日本にいる時と同じように羽織袴スタイルで通しましたが、びっくりしたのは空港の 入国管理官さんの対応でした。

入国審査で並んでいた私を、前の人が終わって「さあ私の番だ」と思った瞬間、

「カッモォ~ン」

と言って大きく手を振り「来いよ、待ってたぜ、相棒!」みたいなノリで迎えてくれたのです。他の人に対しては、粛々と無表情で時折り厳しい目線を送っていた人なのですが、私に対しては一転、まったく違うリアクションだったので正直面喰らいました。

なぜかなと考えていたのですが、この身なりしか理由が浮かびません。以前、ロス

に行った時はごくごく普通の洋装で、その時の管理官さんはやっぱり〝普通に〟無表情でした。

入国審査は「OK! OK!」、ニコニコ笑顔でらくらくパスです。手荷物検査でも同じで、「日本人カイ、イイヨイイヨ 行キナ(もちろん英語で)」と、それだけ。いくらなんでもそれはないだろうと思いましたが、空港を出ると「日本人でよかった~」という感動と感情がどっと湧いたのを覚えています。そこで感じたのは、先人の方々のおかげで「日本人はこれほど信用されているんだな」ということでした。日本人が悪いことばかりしていたら、こんなふうにはならなかったに違いありません。太平洋戦争中に行われた日系人の強制収容など、暗い過去もありましたが、それを払拭するくらいに現地の日本人の方が力をつくした結果、いまの日本像、日本人のイ

メージがある。ですから感謝しなければ、ということを痛切に感じました。

日本人としての誇り。羽織袴は日本人としてのアイデンティティそのものです。

KIMONOYA EIZI

「一流の人はなぜ着物を着こなすのか」を現代書林社より出版した著者のブログ

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