一流の人は 人生の節目となる式ごとを大切にする

現在のようにセレモニー型の儀式になったのはごく最近のことで、ひと昔前までは成人のお祝い事は地域ごとに格式を持って行っていました。その面影は栃木県日光市の「川俣の元服式」に見ることができます。

「儀式の座には、紋付羽織袴姿に威儀を正した新成人者である子分が、正装した後見人親分夫婦の前に座します。親子固めの盃をかわし、続いて血肉を分けた仲になるという縁起から、生魚を親分子分で食べ分けます。この間、長老たちによる謡い「高砂」「四海波」が朗々とうたわれます。(「日光ブランド」ホームページ内「川俣の元服式」より抜粋)ここでの正装は紋付羽織袴。

こうした人生の節目節目に着る袴には、神様や自然、父や母、先祖や周囲の方々などすべてに礼をつくすという意味があります。

また、袴の五本の襞には「仁・礼・信・義・智」の五つの徳を積む人格者であれという思いが込められていて、袴を着て正装するということはすべての方々に礼を言う心を示すということになります。「襟を正す」という言葉がありますが、それ以上の意味合いで「決意」を表すものです。

何気ない「袴」ひとつのことですが、こんなことを知っていれば、わが子の子育てにも自ずと真剣味が増すというものです。

しっかりした身なりで「気」を引き締めることはよくあることです。まして「袴」には日本の歴史や精神が込められています。

七五三や成人式に限らず式ごとには、人生の節目を大切に祝うとともに、これからの人生の指針が込められたものが多くあります。

簡略化することも時代の流れなのでしょうが、祝い、指針を持ってこれからの人生を歩む念いは大切にしていきたいものです。


KIMONOYA EIZI

「一流の人はなぜ着物を着こなすのか」を現代書林社より出版した著者のブログ

0コメント

  • 1000 / 1000