着付けは「心を整える」プロセス
男性でも女性でも、帯を締めたあとにポンと帯をたたく癖を持つ人は多いですね。
「よし!」
「さあ!」
心の声が聞こえてきそうです。
着物をひろげて袖を通し、最後に帯をシュッシュと巻いてキュッと締めて結んで、という作業は一連の決まった手順で進めていく、いたって単純なもので、慣れてしまうとその所作のひとつひとつが自分を見つめる、そして相手のことを考えるためのルーティンとなっていくのです。
着付けは「心を整える」プロセスでもあります。
着物を着馴れている方に話を聞くと、イライラしたり喧嘩をして怒っていたりしているとき、「着ているうちに気持ちが静かになる」と。これは、着付けの途中で無意識に呼吸を整えているからです。姿勢を正して左右を合わせるとか、長さを合わせるとか。帯を巻くときに胸やお腹を膨らませたりすぼめたりしながら締め具合を調整するなど。これを何回も繰り返しているのですから。
スポーツ選手がここぞというときにやるポーズ、ルーティン。 着付けのプロセスも同じようにルーティンをこなしているのです。着物を自分で着られるようになる、というのは、自分自身を見つめる「禅」や「瞑想」にも似た時間を持つことと同じ、というと大げさでしょうか。
〝着物時間〟を楽しみましょう。
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